女性の儀礼 Women's Ceremony
ジュディス・チャンバー
2021年
50 x 50 cm
遥か昔、アボリジナルの人々は自分たちの祖先が訪れた水場やそこをたどった道筋や行程を“ソングライン”や“ドリーミング”と呼び称えた。
「読む」「書く」といった文字を持たなかった無文字社会で生きてきた彼らはそれらを歌で「記憶」し、絵を描いて視覚で「記録」してきた。それが、何世代にも渡って何ひとつ変わることなくいま現在においても確実に伝承されてきているところに、アボリジニ絵画を読み解く面白さがある。
“ドリーミング”というアボリジニ特有の哲学に近い概念は、実に多種多様な解説がありいまだに多くの専門家の間でも確実には定義づけされていない。
中心に描かれている同心円は作者の生まれ故郷である自分のカントリーを表しはるか太古に精霊たちがそこを旅しながら創り上げていった聖地の一部であるという。聖地は女性が太古から継承された儀礼を行うとても重要な場所なのだ。