Artist: ユユヤ・ナンパジンパ

Yuyuya Nampitjimpa

  • マイカントリー

    マイカントリー

    遥か昔、アボリジニの人々は自分たちの祖先が訪れた水場やそこをたどった道筋や行程を“ソングライン”や“ドリーミング”と呼ぶことが多い。

    「読む」「書く」といった文字を持たなかった無文字社会で生きてきた彼らはそれらを歌で「記憶」し、絵を描いて視覚で「記録」をしてきた。それが、何世代にも渡って何ひとつ変わることなくいま現在においても確実に伝承されてきている“ストーリー”はアボリジニ絵画を読み解く面白さのひとつでもある。

    “ドリーミング”というアボリジニ特有の思想は、実に多種多様な解説があり、いまだに多くの専門家の間でも確実な定義づけがされていない。

    中心に描かれている図案は作者の生まれ故郷である自らのカントリーをはるか太古に精霊たちが旅をしながら創り上げていった聖地の一部を表しているという。

    コレクション:
    Aboriginal Art Museum: Holland

  • 女性の儀礼

    女性の儀礼

    この作品は作者の出身地であるキント-コミュニティの北西で食物採集の際に行われる女性の儀礼について描かれている。

    水の乏しい、世界でももっとも乾燥しているとさえいわれるオーストラリアの中央砂漠で遥か太古から大地と共存して暮らしてきたアボリジニの人々は、そこを豊穣なる大地として深い敬意を払う。中には赤茶色の大地を指さしながら「ここは我々のスーパーマーケットだ」という者もいる。

    図案に見られる楕円型のシンボルは食料を確保したときに持ち運ぶクーラモンと呼ばれる木製の皿で、その両脇に描かれる馬蹄形の’U字型‘は狩りに出掛けた女性たちを表す。

    地図も標識も何もない砂漠でもアボリジニの女性たちはいつどこでどれだけ何が採集できるのかを見事に把握しているのは日々大地の表情を読み解く力を備えているからなのだろう。