マイ・カントリー My Country

ネヴィル・マッカーサー

1938年生まれ。オーストラリアの中央砂漠の北側に位置するドッカーリバー(男性の重要な儀式が行われる場所)で幼少時のほとんどを過ごしたという。

伝統的な生活様式を重んじる狩猟採集民であった家族のもとで育ったこともあり、幼い頃は定住をせずに居住区から居住区へと常に移動の生活をしていた作者は、どこへ行っても確実に”水場のありか”だけは把握ができていた。それは祖父・父親から、いかに自分のカントリーと共生して生きるかという、アボリジニとって何よりも不可欠な知恵と情報を伝授されていたからなのだ。

図案にあるたくさんのラインは自らが家族とともにその時に歩いた行程を表しているという。「マイ・カントリー 」とそう呼ぶ作者にとっての家は、壁のない扉のない家,大地そのものなのである。広大なオーストラリアの土地を隅々までくまなく熟知する作者ならではの生命の強さを感じる作品ではないだろうか。