ブッシュメディスン・ドリーミング Bush Medicine Dreaming

アビー・ロイ

いまや最も注目を集めているアボリジニ女性作家の一人で、これまでも豪州国内はもとよりインターナショナル規模でグループ展・個展でそれぞれ出展をされている。

年間を通して雨の最も少ないオーストラリアの中央砂漠ではあるが、雨季のあとには実に様々な色とりどりの花が大地一杯に咲き乱れ、砂漠一面を美しく彩る光景はまさに圧巻だ。アボリジニの人々はそれらの中から病に効く薬草を探し出す能力を持ち備えており、西洋医学とは無縁だった遥か太古からあらゆる病気をその薬草で治したといわれている。

作品はそんな大地の表情を巧みに表現したもので、これまで自然と一体になって広大なオーストラリア大陸で長い間暮らしてきたアボリジニの人々は「大地(カントリー)は常に笑ったり、泣いたり、怒ったりして我々にたくさんのシグナルを与えてくれている、それらは決して見逃してはならないのだ」と常に大地の声に忠実に誠実に耳を傾けているのである。

1972年生まれ。作者の家族には国際的に活躍する故キャサリン・ペチャラや故グロリア・ペチャラがおり、幼少のころから絵画が描かれている環境で暮らしていたことから成長過程において自分も画家になりたいと強く希望していたという。