マイ・カントリー(ウォーター・ドリーミング) My Country (Water Dreaming)

ベティ・ブラウン・ヌンガライ

自らの母親から継承されたストーリーを独自の手法で斬新に描く若手の女性アーティスト。アボリジナルアート発祥の地・パパニアで暮らす。

自分たちのカントリーが日々正しく機能しているかどうかアボリジニの人々は常に「大地の表情」を静観し、時によってはカントリーに呼びかけながらその日のご機嫌をうかがう。

この図案はある日、砂漠では稀な豪雨となったことで居住区内が大洪水になりながらも人々は「恵みの雨」と大地へ祈りを乞い、災害を免れたストーリーを描いているという。

“ドリーミング”(アボリジニ社会における独特な思想・世界観)は何世代にも渡って祖先から次の世代へと伝承されるもので、自分たちが厳しい環境の中で生きるための“バイブル”として現在においても何も変わることはない。

一晩中、儀式を行いそこで歌い踊り、精霊たちと交流をしながらこの「世界の成り立ち」の壮大なストーリーを学んでいくことはアボリジニ社会では重要不可欠なことなのである。