ウォーター・ドリーミング Water Dreaming

プルデンス・ローソン

図案に見られる同心円は、遥か太古に自分たちの大地(カントリー)を創造した精霊たちが水場を求めてたどった道のりを表す。

水のもっとも乏しい中央砂漠では水のありかを見つけられるという能力は砂漠でどれだけ生き延びられるかというアボリジニの人々にとっては何よりも大事な情報だ。読む・書くといった文字を持たなかった無文字社会で生きてきたアボリジニの人々にとってそれらの情報を目で見る言語として絵画に表し何世代にも渡って伝承してきている。

アボリジニの社会では自分たちの祖先(精霊たち)が訪れた水場やそこまでたどった道筋などを歌や踊り、そして絵画として記憶しそれらを確実に記憶する。その行程をアボリジニの人たちは“ソングライン”や“ドリーミング”と呼び、儀式を通じて壮大なストーリーの伝達を行うのである。