ダンシング・トラック Dancing Track
トリーザ・プーラ
2022年
83 x 121 cm
1963年に、オーストラリア北部・ダーウィンにて生まれる。
アボリジニアート界では国内外において著名な画家であるバーバラ・ウィアを実の母に持つ作者は、幼いころから母親の傍で絵画制作にいつも見入っていたという。そしてあるとき母親から突然キャンバスを手渡されたのを機に自ら絵を描き始めたそうだ。
自分が生まれ育った故郷であるユトーピア(豪州中央砂漠・アリススプリングス北東240キロ)の聖地で行われる女性の儀礼の際に女たちが踊りを舞ったその足跡をモチーフにしたダンシング・ラインをこの作品の主題としている。
作者をはじめ、アボリジニの人々は大地といかにうまく共存して生きて行く術を幼い頃から歌や踊りで先代から学んでいく。その学び取ったものこそが自分のストーリーとなり、自ら描くことを許されるのである。
いまや国内外にコレクターも存在するほどの人気ぶりだが、細やかな点描をとても丁寧に描く作者ゆえ、作品が出来上がるまでかなりの時間を要する。
オーストラリアの首都キャンベラにある王立植物園の石畳には作者のデザインが使用されるなど今後の活躍がますます期待される画家の一人であることは間違いない。
2008年、東京新国立美術館で開催されたエミリー・ウングワレ―展の開会式出席のため母親バーバラと一緒に初来日。1週間の日本滞在を大いに満喫した。2024年にアボリジナルアート展のゲストとして2度目の来日。