1971年、オーストラリアの中央砂漠で生まれたアボリジニアートは、今や現代オーストラリア画壇の主流となりました。
近年ではアボリジニ作家の作品が公募展で賞を独占し、美術館の特別展に取り上げられ、国際的なスター作家を多く輩出するなど、注目度は年々上がるいっぽうです。こうした誰もを魅了するアボリジニアートが放つ力とは、一体何なのでしょうか。

視覚的にはよくわからなくても、作品を「じぃー」っと観ていると、我々人類の遺伝子の中にある記憶をなんだか呼び覚ましてくれるような懐かしい感覚、また毎日利便性の中で暮らす私達が、ふとどこかに置き忘れてきてしまった「こころの忘れ物」を届けてくれるような、そんな”はっ”とする感覚を私は覚えるのですが、いかがなものでしょうか。

早いものでオーストラリアでの暮らしも22年を迎えました。砂漠で何度も干し上がり、大洪水で立ち往生しながらも、彼らの深遠でユニークなアートに出会った喜びは格別です。その喜びを今年もぜひ皆様と共有させてください。ご来場を心待ちいたしております。

内田真弓

 

アボリジニアートとは

地上に現存する中で、最も古い伝統を誇るオーストラリア先住民アボリジニの人たちが描く絵画が今や現代アートの最先端として世界中から大きな注目を集めているのをご存知でしょうか。

1971年、彼らに初めてキャンパスと絵の具が紹介されたのを機に、”アート”として世に登場したアボリジニアート。オーストラリアの砂漠で描かれる彼らの絵画は、どれも芸術のための芸術ではありません。もともと『読む』『書く』といった文字文化を持たなかった無文字社会で暮らすアボリジニの人々にとって、絵を描くということは”伝達手段”のひとつだったことはもちろんのこと、大地と関わる自分自身の喜びの表現であり、またそのつながりを確認するための”儀礼”を自ら行っている深遠なる行為でもあるのです。

狩猟採集民として長い間移動生活をしていたアボリジニの人々が今私達に「大地との大切なコミュニケーションを取る方法」を教えてくれるメッセージ。それが大地から生まれたアボリジニアートなのです。

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