アボリジニ村の朝は実に様々な音で目が覚める。犬達のすさまじい鳴き声、子供の騒ぎ声……だけど、この日はものすごい雨の音で飛び起きた。時計はすでに8 Nfl cheap jerseys cheap nfl jerseys cheap nba jerseys 時半を回っている。そしてふと隣を見ると、一緒にこのアボリジニ村に同行してきた友人和代はまだ熟睡中だ。きっと日本からの旅の疲れが出たんだろうな。さて…っと。これからどうしよう。私はしばらくベットに腰をおろしたまま呆然と考え込んでいた。何たって、この砂漠でこんなにひどい雨に降られたのは実は私も初めてのこと。何しろ350人以上のアボリジニの居住区である。この雨の中、お目当てのアーティストを探すのは至難の業だ。それに、気温のグッと下がった雨の砂漠は魅力もかなり半減する。

『……仕方がない、アリススプリングスへ戻ろうか』しぶしぶ私がそう言うと友人和代は待ってましたとばかりに『私もずっとそう思ってたの。でも真弓は仕事でもあるから、言い出せなかったのよー』となんともうれしそうに帰り支度を始めたのである。あれほど砂漠の真中でロマンティックな満天の星空を、流れ星を見るんだと張り切っていたのに……。

「きゃあー!真弓やめて!怖いー!」と叫ばれても、「ごめん、止まらないのよ。わざとじゃないの。ハンドルがいうこときかないの」

車がクルクル回り出し、コントロールがまるで効かない。まさにアイススケート状態である。あーー!あーー!どうしよう!!!手に汗びっしりかいてブレーキ踏むと、ようやく車は止まったはものの、私たちの視界には大きな木がでーーんと立ちふさがっていて危うく正面衝突に。

すれ違う車など一台もないこの砂漠のど真ん中で、しかもこんな雨ザーザー降る中でもしも車が壊れたら……ご想像されたし。日本人女性白骨死体発見なんていう見出しの新聞が出てもまったくおかしくない。案の定、友人和代は泣きべそ状態。さすがの私もすっかり心細くなり、残りのガソリンを確認しながら、もう『火曜サスペンス劇場』のようなまねはしないからと固い約束を交わしてアリススプリングスへと向かった。

しばらくすると、今度は目の前に10メートルはあるであろう長く大きな水溜りが待ち構えているではないか。”どこからでもかかって来い!”といわんばかりに道いっぱいに広がっているこの水溜り。真中を一気に突っ切るしか方法はない。しかし一端水の中にはいってしまうと深さがわからないのでそのままずっぽり沈んでしまう可能性もある……が、他に選ぶ道はなし。またあれこれ考える余裕もなし。とにかく突っ込め!それしかない。そう思って一気にアクセル踏んで突っ込んだら、案の定水たまりのど真ん中で車はゆっくり止まった。泣きたい気持ちとはまさにこのこと。私たちは、しばらく水溜りの中で心臓バクバクさせながら同じ方向を見つめていた。5メートル先にある水溜りの向こうの赤土であった。

「ねえ、和代。もう一度ゆっくりエンジンかけてみて。それでダメだったら私後ろから押すからさ」そう言って助手席に座っていた私が自分の靴下を脱ぎかけていたらブルル…ブルル…と、鈍いエンジンの音が聞こえてきたではないか。車がゆっくり動いている。”やったー!よかった”と言ってお互いの顔を見合わせて喜んでいるところに、今度は前から一台のトラックがやってくるのが見えてくる。出発から約5時間ですれ違う初めての車である。

あの時の言葉にならぬ興奮ったらない。彼らは私たちよりも少し大きな4駆に乗ったアボリジニの家族であった。(後部座席に10人は乗っていた記憶あり)早速車を止めて窓を開けると、大きな目をギョロっとさせた中年の男性が『お前達、今からアリススプリングスへ行くのかね?この先に小さな川が氾濫しているが、その車じゃどうかな。……よし、わしがそこまで誘導してやろう。』と、ただの通りすがりの怪しげな日本人女性2人のために、自分達の行くまったく逆方向の20キロ先にある川まで、しかもこのザーザー雨の中、一緒に行ってくれると彼は言っているのだ。さっきは恐怖で涙が出そうになったが、今度はうれしさで泣けてきた。 しかしグニャグニャ道に慣れきっている彼らの運転の早いこと、早いこと。そうこうしながらもやっと、先ほど氾濫していると脅かされた川にたどり着いたが、さっきの水溜りサバイバルの恐怖と比べると、実はなんてことはなかった。

それでも私たちがちゃんと川を渡れるまで、彼らは後ろからずうーっと見守ってくれていて、無事に通り終わると、飛び上がって大きなガッツポーズをしてくれているのがバックミラーからはっきり見えた。私は何度も何度も後ろを振り返りながら窓から大きく手を振った。「ありがとう、ありがとう」と幾度も頭を下げて。 Or “ここは無条件で他人に優しくなれるところなんだな。” How 私も友人和代も言葉にこそはしなかったが、確かにいま同じ事を思ったという確信がお互いの心にあった。

長い長い人生の途上、ほんの些細なきっかけが人の運命を変えてしまうことがあると私は信じる。私とアボリジニとの”出会い”もきっとそう。彼らと一緒にいるといつも忠実に自分の心に耳を傾けられるような、そんな気がしている。結局私たちのドライブは出発から7時間半かけて無事にアリススプリングスに到着した。ドロドロの真っ赤な赤土まみれのレンタカーも返却しこれで雨の砂漠ともお別れと、その夜は友人和代と祝杯をあげて旅の最後を惜しんだ。

・・・・・・・そしてメルボルン帰着3日後・・・・・・・・。アリススプリングスのレンタカー会社から電話あり。一瞬車の中に忘れ物でもしたかな?と思いきや『車の数箇所が壊れてる。ここは保険でカバーできない。修理代見積もり$2200ね。詳細はまた後日。バ~イ』雨の砂漠は最後まで私たちにドラマを提供してくれる。

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