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  • 母の大地

    母の大地

    1945年ごろに生まれる。

    アボリジニの人々にとって広大なオーストラリアの大地は自らを創り出してくれた偉大なる「母」。
    作者はアボリジニの母親とアイルランド人の父親を持つ混血児であったことから1950年代、オーストラリア政府の親子隔離政策(Stolen Generation)により、幼い頃に(当時9歳)母親から強制的に引き離されて「オーストラリア白人社会」への順応を余儀なく要求された体験者である。そのため家族の待つ自分の故郷へ一刻も早く戻りたいと日々願っていたという。

    故郷をあとにしてからおよそ20年の歳月が過ぎた頃、作者の念願がやっと叶い自分の生まれ育ったカントリーへ再び戻ることとなった。この作品には自分とカントリーのコネクションを再確認できた大きな喜び、そして長い年月を経ても快く受け入れてくれた家族への深い感謝の気持ちが込められている。

    いまや世界中にコレクターが存在する著名画家として瞬く間に名声を上げた作者は日本のメディアにもこれまで多数出演をしている。

    大の親日家でもある作者のこれまでの来日経験は5回。2028年には大阪国立国際美術館・東京国立新美術館で大々的に開催された「アボリジニが生んだ天才画家・エミリー・ウングワレー展」において、故エミリー・ウングワレ―とは生前誰よりも近しい親族のひとりだったことからオフィシャルゲストとして日本へ招かれた。

    2023年。家族の見守る中アデレード病院にて逝去。

  • 私の母の故郷

    私の母の故郷

    作者は1953年生まれ、ユトーピアの女性画家として1990年代後半から絵画制作に励んできた。アーティストとしてのキャリアは比較的長いベテラン作家の1人である。

    細やかな点描は乾燥した砂漠地帯にようやく雨が降ったあと色とりどりの草花が咲き乱れそこにブッシュプラムが生息する様子を描いている。
    (注:ブッシュプラム → 乾燥したオーストラリアの中央砂漠でアボリジニたちの大切な食料源となる果物の実。ビタミンCを非常に多く含む。)

    細やかなドット手法が人気でありもはやコレクターが数多く存在する。作者が絵画を描くということは大地と自分が常に関わり合っていることを確認することの表現。
    これははるか太古から祖先(精霊)によって伝承されてきたメッセージを大切に守り続けるための重要な儀式を行っているのと同じだと作者自身は誇らしげにいう。

    コレクション:National Gallery of Victoria

  • マイカントリー

    マイカントリー

    長年注目を集めてきたベテラン女性画家の一人である。

    コミュニティ内でも長老的な役割を担う作者の描くテーマは常に「マイ・カントリー(我が故郷)」。自らが強い想いを寄せる大地には実に様々な物語が存在するのだ。

    幼少のころは家族とともに、大地を移動しながら狩猟採集生活をしていた。それゆえ、今こそ電化製品が完備する居住区で暮らしながらも毎日好んで狩りへ出掛けて行ったという。

    自らが生まれ育った故郷をダイナミックに描く力強い独創的な図案は多くのファンを唸らせ、オーストラリア国内はもとより海外のコレクターたちも作品に胸を躍らす。

    西洋美術から一番かけ離れた環境で暮らすはずの作者の先天的な美的センスには誰もが目を見張るのは当然のことであろう。

    2019年 老衰のため永眠

    コレクション:
    British Museum
    National Gallery of Victoria Collection
    Patrick Corrigan Collection
    W & V McGeoch Collection
    Sir Charles Gairdner Collection

  • 女性の儀礼

    女性の儀礼

    作者は中央砂漠におけるアクリル絵の具での絵画制作活動において、いち早く絵筆を握った女性画家の一人である。

    すでに他界しているが、現役の時には高齢とは思えぬパワフルで力強い筆づかい、またそこに込められるエネルギー性の高さは誰もが圧倒され、オーストラリア国内の国立、州立美術館はもとより国外ではオランダ・パリの美術館に所蔵をされている実力派の作家だ。

    個展では過去3回、グループ展ではオーストラリア国内で計91回に出展されているほど大きな注目を集めているほど。

    作品中央の同心円は水が溜まる岩場を表し(そこは作者の部族にとっては聖地として敬われている)女性たちがウィメンズ・ビジネスと言われる神聖な儀礼を執り行う場所でもある。

    コレクション:
    オーストラリア国立美術館
    ビクトリア州立美術館
    ニューサウスウェールズ州立美術館
    サウスオーストラリア州立美術館

  • マイカントリー

    マイカントリー

    遥か昔、アボリジニの人々は自分たちの祖先が訪れた水場やそこをたどった道筋や行程を“ソングライン”や“ドリーミング”と呼ぶことが多い。

    「読む」「書く」といった文字を持たなかった無文字社会で生きてきた彼らはそれらを歌で「記憶」し、絵を描いて視覚で「記録」をしてきた。それが、何世代にも渡って何ひとつ変わることなくいま現在においても確実に伝承されてきている“ストーリー”はアボリジニ絵画を読み解く面白さのひとつでもある。

    “ドリーミング”というアボリジニ特有の思想は、実に多種多様な解説があり、いまだに多くの専門家の間でも確実な定義づけがされていない。

    中心に描かれている図案は作者の生まれ故郷である自らのカントリーをはるか太古に精霊たちが旅をしながら創り上げていった聖地の一部を表しているという。

    コレクション:
    Aboriginal Art Museum: Holland

  • マイカントリー

    マイカントリー

    間もなく年齢80歳を迎える女性作家。力強い筆さばきの中にもどこか温かみを感じる作品である。

    絵画制作を始めるまでは、居住区では高齢者施設で単調な生活を送るだけの毎日だった作者だったが「アート」を描き始めるようになってからはまるで別人のように生き生きと暮らすようになったと関係者たちがみな驚いている。

    アボリジニの人々にとって「絵を描く」というのは美術を制作することではなく自分たちの文化を次の世代に確実に継承するというもので、そのプロセスが何よりも大切なのである。文字文化を持たなかった彼らの社会において絵は芸術ではなく「視覚言語」だったのだ。つまり、私たちが普段慣れ親しんでいる西洋美術とは対極的な絵画と言えるだろう。

    最寄りの街まで900キロ。キャンバスやアクリル絵の具を街から調達するのにも一苦労である小さな居住区だが、いまやここで生まれるアートが世界各国から注目され始め、アートセンターは始終大忙しだという。

    絵を描くことが自分自身のアボリジニとしてのアイデンティティを再確認できる喜びだと誇らしげに語る作者に今後の更なる活躍を期待したい。

  • マイ・カントリー

    マイ・カントリー

    1940年ごろ生まれた女性画家。(出生記録が不明のため正しい生年月日の記録はない)

    伝統的な営みで暮らす家族とともに、幼少の頃は定住をせずに狩猟採集民として長い間移動生活を続けていたという。

    野生のものだけで命を繋ぐ狩猟最終生活。カントリー(大地)が毎日変わっていく表情を細部まで読み解き、地図がなくても自由自在にくまなく大地を移動できる作者は自分のカントリーを熟知している証拠だ。

    描く作品の主題は「マイカントリー 」である。図案の同心円は遥か太古に精霊たちがこの大地を創り上げるために旅をした聖地。その周辺のラインは聖地で儀礼を行なった際にアボリジニの女性たちが踊りを舞い、大地に刻んだ足跡だ。

  • ウォータードリーミング

    ウォータードリーミング

    1940年生まれ。オーストラリアの中央砂漠の北側に位置するドッカーリバー(男性の重要な儀式が行われる場所)で幼少時のほとんどを過ごしたという。

    狩猟採集民であった家族のもとで育ったこともあり、幼い頃は定住をせずに居住区から居住区へと常に移動の生活をしていた作者は、どこへ行っても確実に‘水場のありか’だけは把握ができていた。

    それは祖父・父親からいかに自分のカントリーと共生して生きるかというアボリジニとって何よりも不可欠な知恵と情報を伝授されていたからなのだ。

    図案にあるたくさんの同心円は地球上で最も水の乏しいと言われるオーストラリアの中央砂漠にある水のある場所を示す。

    水のありかを知るということがいかに砂漠で生き延びられるかとう命に直結する重要な物語なのである。

  • マイカントリー

    マイカントリー

    作品に描かれている同心円は、アボリジニの女性たちの伝統的な儀礼が行われるキャンプ地《集合場所》を表し、そこは遥か太古に大地の精霊たちが水場を探し求めながら旅をした旅程/地図でもあったという。

    アボリジニの女性の儀礼には重要でかつ神聖な情報を自分達の次の世代へ確実に伝承するという大きな役割がある。

    これは水一滴ない砂漠の過酷な自然条件の中で“生きる”ために欠かせない知恵であり、その伝達のために行う儀礼には、必ず自分たちの身体(肩・胸元・乳房部分)に“ボディ・ペイント”を描き、それには部族の歌・踊りを伴いながら、アボリジニの女性たちは何よりも大事な伝達の記録として幼い頃から記憶をする。

    もともと「読む」「書く」といった文字を持たない無文字社会で生きるアボリジニの人々にとって、絵を描くということは決して芸術のためではなく、ビジュアルな言語として(視覚で記憶する文字に代わる記号のようなもの)これまで何千世代にも渡って伝承されてきた文化・歴史・ライフストーリーそのものなのである。

  • マイカントリー

    マイカントリー

    作品の中央部分に描かれている同心円は、アボリジニの女性たちの伝統的な儀礼が行われるキャンプ地《集合場所》を表し、そこは遥か太古に大地の精霊たちが水場を探し求めながら旅をした旅程でもあるという。

    アボリジニの女性の儀礼には重要で、かつ神聖な情報を自分達の次の世代へ確実に伝承するという大きな役割がある。

    これは水一滴ない砂漠の過酷な自然条件の中で“生きる”ために欠かせない知恵であり、その伝達のために行う儀礼には必ず自分たちの身体(肩・胸元・乳房部分)に“ボディ・ペイント”を描き、それには部族の歌・踊りを伴いながら、女性たちは幼い頃から大事な伝達の記録として記憶する。

    もともと「読む」「書く」といった文字を持たない無文字社会で生きるアボリジニの人々にとって、絵を描くということは決して芸術のためではなく、ビジュアルな言語として(視覚で記憶する文字に代わる記号のようなもの)これまで何千世代にも渡って伝承されてきた文化・歴史・ライフストーリーそのものなのである。

  • ウワルキ

    ウワルキ

    作者ミチェリは1945年ごろオーストラリア中央砂漠ハースト・ブラフで生まれ、著名画家でもある彼女の母親、チュンカイヤ・ナパチャリより父親のドリーミング(アボリジニの独特な思想・世界観を表す言葉で神話として現在も語られる天地創造の起源、または精霊の行為やアボリジニ社会の規範などを意味するもの)を学ぶ。

    中央の模様は作者がヤリの制作に使われるある特定の樹木を描いておりその両側はそれらの樹木が自生している父の聖地、“ウワルキ”を表している。

    西洋美術とはほぼ無縁な環境で生まれ育った作者が描く斬新でポップな画風はまさに現代アートとして評価され、オーストラリア国内外では多くのファンを唸らせる。

    2019年、老衰のため永眠。