Collection: tokyo2024

  • マイ・カントリー

    マイ・カントリー

    長年注目を集めてきたベテラン女性画家の一人である。

    コミュニティ内でも長老的な役割を担う作者の描くテーマは常に「マイ・カントリー(我が故郷)」。自らが強い想いを寄せる大地には実に様々な物語が存在するのだ。

    幼少のころは家族とともに、大地を移動しながら狩猟採集生活をしていた。それゆえ、今こそ電化製品が完備する居住区で暮らしながらも毎日好んで狩りへ出かけて行ったという。

    自らが生まれ育った故郷をダイナミックに描く力強い独創的な図案は多くのファンを唸らせ、オーストラリア国内はもとより海外のコレクターたちも作品に胸を躍らす。

    西洋美術から一番かけ離れた環境で暮らすはずの作者の先天的な美的センスには誰もが目を見張るのは当然のことであろう。

    2019年、老衰のため永眠。

    コレクション:
    British Museum
    National Gallery of Victoria Collection
    Patrick Corrigan Collection
    W & V McGeoch Collection
    Sir Charles Gairdner Collection

  • マイ・カントリー

    マイ・カントリー

    1940年ごろ生まれた女性画家。(出生記録が不明のため正しい生年月日の記録はない)

    伝統的な営みで暮らす家族とともに、幼少の頃は定住をせずに狩猟採集民として長い間移動生活を続けていたという。

    野生のものだけで命を繋ぐ狩猟最終生活。カントリー(大地)が毎日変わっていく表情を細部まで読み解き、地図がなくても自由自在にくまなく大地を移動できる作者は自分のカントリーを熟知している証拠だ。

    描く作品の主題は「マイカントリー 」である。図案の同心円は遥か太古に精霊たちがこの大地を創り上げるために旅をした聖地。その周辺のラインは聖地で儀礼を行なった際にアボリジニの女性たちが踊りを舞い、大地に刻んだ足跡だ。

  • マイ・カントリー

    マイ・カントリー

    1938年生まれ。オーストラリアの中央砂漠の北側に位置するドッカーリバー(男性の重要な儀式が行われる場所)で幼少時のほとんどを過ごしたという。

    伝統的な生活様式を重んじる狩猟採集民であった家族のもとで育ったこともあり、幼い頃は定住をせずに居住区から居住区へと常に移動の生活をしていた作者は、どこへ行っても確実に”水場のありか”だけは把握ができていた。それは祖父・父親から、いかに自分のカントリーと共生して生きるかという、アボリジニとって何よりも不可欠な知恵と情報を伝授されていたからなのだ。

    図案にあるたくさんのラインは自らが家族とともにその時に歩いた行程を表しているという。「マイ・カントリー 」とそう呼ぶ作者にとっての家は、壁のない扉のない家,大地そのものなのである。広大なオーストラリアの土地を隅々までくまなく熟知する作者ならではの生命の強さを感じる作品ではないだろうか。

  • マイカントリー

    マイカントリー

    作品に描かれている同心円は、アボリジニの女性たちの伝統的な儀礼が行われるキャンプ地《集合場所》を表し、そこは遥か太古に大地の精霊たちが水場を探し求めながら旅をした旅程/地図でもあったという。

    アボリジニの女性の儀礼には重要でかつ神聖な情報を自分達の次の世代へ確実に伝承するという大きな役割がある。

    これは水一滴ない砂漠の過酷な自然条件の中で“生きる”ために欠かせない知恵であり、その伝達のために行う儀礼には、必ず自分たちの身体(肩・胸元・乳房部分)に“ボディ・ペイント”を描き、それには部族の歌・踊りを伴いながら、アボリジニの女性たちは何よりも大事な伝達の記録として幼い頃から記憶をする。

    もともと「読む」「書く」といった文字を持たない無文字社会で生きるアボリジニの人々にとって、絵を描くということは決して芸術のためではなく、ビジュアルな言語として(視覚で記憶する文字に代わる記号のようなもの)これまで何千世代にも渡って伝承されてきた文化・歴史・ライフストーリーそのものなのである。

  • マイ・カントリー

    マイ・カントリー

    細やかで美しい点描は、乾燥した砂漠地帯にようやく雨が降ったあと色とりどりの草花が咲き乱れ、自分たちのカントリーにブッシュプラムが生息する様子を描いている。
    (注:ブッシュプラム → 乾燥したオーストラリアの中央砂漠でアボリジニたちの大切な食料源となる果物の実。ビタミンCを非常に多く含む。)

    ブッシュプラム以外にも実に多種多様な食物が砂漠には生息しており、それがいつ、どこで、どれだけ得られるのかという情報や知恵は狩猟採集民族アボリジナルの人々にとっては不可欠だ。遥か太古からカントリーと共に行きた彼らだからこそ土地を熟知する。

    細やかな美しいドットで描かれる手法が人気であり、今後ますます注目を集める女性画家のひとりであることは間違いない。

  • ウワルキ

    ウワルキ

    作者ミチェリは1945年ごろオーストラリア中央砂漠ハースト・ブラフで生まれ、著名画家でもある彼女の母親、チュンカイヤ・ナパチャリより父親のドリーミング(アボリジニの独特な思想・世界観を表す言葉で神話として現在も語られる天地創造の起源、または精霊の行為やアボリジニ社会の規範などを意味するもの)を学ぶ。

    中央の模様は作者がヤリの制作に使われるある特定の樹木を描いておりその両側はそれらの樹木が自生している父の聖地、“ウワルキ”を表している。

    西洋美術とはほぼ無縁な環境で生まれ育った作者が描く斬新でポップな画風はまさに現代アートとして評価され、オーストラリア国内外では多くのファンを唸らせる。

    2019年、老衰のため永眠。

  • ボディ・ペイント

    ボディ・ペイント

    アボリジニの人々にとって広大な大地(カントリー)は自らを生み出してくれた偉大なる母であり、また死後に自分の魂が再び戻っていくことから密接な完成のある特別な場所であると語られている。

    世界で最も水の乏しい乾燥した大地だといわれるオーストラリアの中央砂漠ではるか太古から野生のものだけで暮らしてきた先住民アボリジナルの人々が持つ知恵や情報は我々文明人からは計り知れないことばかりだ。

    大地の隅々まで熟知している彼らだからこそ常にその大地に不具合が発生してはいないか確認を怠らず、儀式を行い、平和と秩序を願うのだ。その儀式の際に身体に描かれるボディ・ペイントがこの作品の主題となっている。

    作者は画家としてのキャリアも長く、国内外ともに注目度は高い。現在は家族と共にアリススプリングスに在住。