アーカイブ: アーティスト

  • ローナ・フェンサー

    絵を描くことがたまらなく好きだという作者は1920年(推定)生まれ。アボリジニの女性画家の中ではパイオニア的存在の偉大な画家である。

    居住区内にあるアートセンターでは生前、アートコーディネーターたちがキャンバスや絵の具を用意するのを待ちきれないとばかりにすぐに絵画制作を始め、一日中黙々と集中して絵を描いていたそうだ。

    普段、最寄りの街から600キロ離れる居住区で長年暮らす作者は美術館で絵画鑑賞することもなければアート雑誌を読むはずもない。

    しかしながら、彼女から生まれるオリジナルで独創的な図柄、ビビットな色づかい、そして高齢であるのに力強いブラシワークなど多くの人々を魅了する要素がたくさんあることからファンからの支持はとても厚い。

    コレクション:
    オーストラリア国立美術館
    ビクトリア州立美術館
    ノーザンテリトリー州立美術館
    クイーンズランド州立美術館
    オランダ アボリジニアート博物館

  • ビル・ウィスキー

    ビル・ウイスキーは本来ピルパ・アクラ(マウントオルガ近郊)出身であるが幼少の頃、家族をすべて失ってしまったため親族とともにそこから更に1000キロ北上したハースツブラフへと移動した。(ともに豪州中央砂漠)

    それまで作者は白人との接触はほとんどなく、初めて白人を見たときの印象はとても恐ろしい物体で、彼らは間違いなく悪霊が取り付いた得体の知れない宇宙人たちだと思ったという。

    その後はそういった白人のもとで過度の労働を強いられたが、それを逃れるかのように現在の居住地となるマウントリービック(アリススプリングスより360キロ西部)へと移り住む。

    絵画制作は2004年から開始。主なストーリーは自分の生まれ故郷の聖地について描くという。力強い筆使いは鑑賞者へ強烈な印象を与え、独創性に富む作者の作風は常に多くのファンの関心を集めている。

    コレクション:
    オーストラリア国立美術館
    ビクトリア州立美術館

  • ルビリー・ナパルラ

    2007年から絵画制作をスタートさせたキャリアとしてはまだ若い作者であるが、彼女は都市部で暮らすことを拒み、最寄りの街から500キロ離れた居住区で家族とともに伝統的な暮らしを営むなどとてもトラディッショナルな女性である。

    母親は著名画家、チュンカイヤ・ナパチャリ

  • ピンタ・ピンタ・チャパナンガ

    作者は1935年ごろ生まれ成人になるまではブッシュで伝統的な生活(野生の食物のみで暮らすこと)を送っていたといわれている。

    牧夫として働いていた彼が最初に絵画制作の手ほどきを受けるようになったのは、1970年代初期になってからである。

    1971年こそ、まさにアボリジニアートのムーブメントがスタートした年で作者はその年に初めて絵筆を握った現在においても芸術性の高さを多くの人々に評価されるアボリジニアート界での重要な画家の一人として認識されている。

    コレクション:
    オーストラリア国立美術館

  • アナ・ペチャラ

    1965年ごろユトーピアにて生まれる。

    アボリジニアート界の巨匠であるエミリー・ウングワレーの実の姪である作者は自分の故郷であるユトーピア(豪州中央砂漠・アリススプリングス北東240キロ)に住む。

    個人コレクターはいまやUSA、シンガポール、アイルランド、インド、ポーランド、デンマーク、フランス、日本に存在する人気作家だ。

    コレクション:
    南オーストラリア州立美術館
    西オーストラリア州立美術館
    クイーンズランド州立美術館

  • グラニス・ナパチャリ

    アボリジニの著名画家、ニンガラ・ナパルラの娘であり幼少から母親が絵画制作をしている側でずっと眺めていたことから自分も絵を描くことに興味を抱き始めたという。

    母親との作風とは若干異なるが、ストーリーは伝承された同じものを描く。

    主なストーリーとしては“女性の儀礼”があり、特にこの作品はその儀礼の際に自分の身体に描かれたボディペイントを表現している。

    遥か太古から狩猟採集民として広大な大地を自由自在に巡ってきたアボリジニたちはそれぞれの聖地で様々な自然の神たちと遭遇し、そこで何世代にも渡って伝承され続けてきた創世神話のストーリーを伝承していく。

    アボリジニ社会では、許された者だけが許された場所で世界の成り立ちの壮大なスケールにも及ぶストーリーを聞くことができるのだ。